森林環境税・森林環境譲与税について
第196回通常国会における森林関連法案の見直しにより、平成31年度税制改正において、森林環境税(2024年度から年額1,000円を課税)及び森林環境譲与税(2019年度から譲与)が創設されました。
森林環境税創設の趣旨
- パリ協定(※1)の枠組みの下におけるわが国の温室効果ガスの排出削減目標の達成
- 近年、激甚化している山地災害の防止を図るための森林整備の推進
このような森林の多面的機能を発揮するために、市町村主導で行われる「新しい森林管理システム」の実施に必要な安定的な地方財源を確保するため、国民一人一人が等しく負担を分かち合ってわが国の森林を支える仕組みとして創設され、2019年度より自治体へ譲与されます。
※1 パリ協定
1997年に定められた「京都議定書」の後継となる、2020年以降の気候変動問題に関する国際的な枠組み。この協定では先進国のみならず途上国を含む全ての参加国に、削減義務が課せられ、日本では2030年度の温室効果ガスの排出を2013年度の水準から森林吸収量も含め26%削減する目標を定めています。
税の仕組み
森林環境税は、個人住民税の均等割の納税者の皆様から、国税として1人年額1,000円を上乗せして課税されます。納税義務者が全国で約6千2百万人いるので、税の規模は約620億円となります。時期については東日本大震災の復興税が終了する2024年度から課税されます。
森林環境譲与税は、「新たな森林管理システム」の施工に合わせ、課税に先行して2019年度から開始されます。その原資は交付税などの借入によりまかない、借入金は後年度の森林環境税の税収の一部をもって償還します。その譲与額は、森林経営管理制度の本格的な運用まで(市町村の体制の整備、所有者の意向調査)に一定の時間を要すると考えられるため、段階的に増加するように設定し、2019年度は200億円から開始することになります。
税の使途
森林環境譲与税は
- 間伐や路網開設などの森林整備
- 森林整備を促進するための人材育成・担い手の確保
- 森林整備を支えるための木材利用の取り組みや普及啓発
のために活用されます。
【多くの森林を有する山間部の市町村では】
新しい森林管理システムを活用し、これまで手入れのできていなかった森林の整備、その経営管理を担う人材育成・担い手の確保を推進します。
【森林が少ない都市部の市町村では】
木材利用の促進や、山間部の市町村との連携による森林環境教育などの普及啓発に取り組みます。
森林環境譲与税の各年度の譲与額と市町村及び都道府県に対する譲与割合及び基準
市町村の体制整備の進捗に伴い、譲与額が徐々に増加するように借入額及び償還額を設定。
市町村が行う森林整備等を都道府県が支援・補完する役割に鑑み、都道府県に対して総額の1割を譲与。
(制度創設当初は、市町村を支援する都道府県の役割が大きいと想定されることから、譲与割合を2割とし、段階的に1割に移行。)
使途の対象となる費用と相関の高い客観的な指標を譲与基準として設定。